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あそぶときの注意

医療的ケアとは、重症心身障害とは

日常の生活を送る上で医療的なケアや医療行為、医療機器が必要となるこどもたちを、医療的ケア児と呼びます。
医療的ケア児の数は、年々増加傾向にあります。障害の程度や症状、必要となる医療的なケアや医療機器も多様であり、たんの吸引や気管切開部位の管理、酸素療法、胃ろうや腸ろうの管理、人工肛門、自己導尿、自己注射等を必要とする場合も多いです。医療的ケア児の中には、自分の意志で身体を動かすことが難しかったり、自分の意志の通りに見たり、聞いたり、話たりすることが難しい場合があります。一方で、人工呼吸器という医療機器は必要となるものの、自分の意志で動いたり話したりできるこどもたちもいます。
つまり、「医療的ケア児」という言葉の中には、さまざまな障害や症状・特性をもったこどもたちが含まれており、必要な介助や配慮も異なります。

あそびはすべてのこどもの成長や発達にとって重要で、医療的ケアが必要なこどもや重症心身障害があるこどもも例外でありません。
こどもたちは、あそびの中から感覚をみがき、身体の運動発達を促し、他者との関係性や社会性を育みます。また、あそびを通して「やってみたい」「おもしろい」「たのしい」といった豊かな感情や情緒も育んでいきます。

このウェブサイトでは、医療的ケアのあるこどもや重症心身障害のあるこどもも一緒に楽しめるあそびやおもちゃ、メディアを紹介しています。
お子さんにぴったりのあそびを見つけてあげてください。

いっしょにあそぶときの注意点

1. できること・楽しめることを一緒に探そう!

医療的ケアのあるこどもや重症心身障害のあるこどもとあそぶときには、医療的ケアや医療機器、障害や症状によって、どうしても“できないこと”に着目してしまいがちです。しかし、動かせる身体の部分を上手につかったり、一連のあそびの中でも“できる”部分を切り出して一緒に楽しんだり(例えば、色を“塗る”ことが難しい場合に、色を“選ぶ”部分を一緒に楽しむなど)することで、あそびの幅はぐんと広がります。あそびの中で、楽しい/嫌だというこどもの反応やサインを見逃さないように観察しながら、できること・楽しめることを一緒に探していきましょう!

2. 気負わずにあそびを楽しもう!

あそぶときに、”良い”あそびをしなくてはと気負う必要はありません。手間をかけすぎる必要もありません。こどもは日常にあるものを何でもあそびに変えてしまいます。小物をカップから入れたり出したりするだけでも、ものの認識を促したり、にぎる/離すといった手先の運動になっています。
このウェブサイトで紹介しているあそびのほとんどは、なるべく手間をかけずに広がりのあるあそびとなっています。準備物も、家にあるものや100円均一ショップなどで手に入るものが多いです。中には準備のいらないものもあります。
いろいろと試してみて、お子さんの反応を見ながら好きなあそびを見つけてください。好きなあそびを見つけたら、各あそびのページにある「発展」も参考にしながら、あそびをカスタマイズしてみてください!

3. 安全にあそぼう!

医療的ケアのあるこどもや重症心身障害のあるこどもにとって、安全は大前提です。
安全の管理について、いくつかの視点を挙げてみます。

*清潔な環境整備* 手洗い、テーブルを拭く、おもちゃの消毒、など。
 感染症へのリスクの高いこどもたちなので、清潔な環境であそびましょう。

*場所の安全確認* ぶつかるものやつまずくものなどないか、など。
 転ぶとケガをしたり、チューブが抜けたりと事故につながります。

*医療機器の確認* 点滴の位置や呼吸器、チューブの位置を確認、など。
 チューブが抜けた際の対処法はあらかじめ確認しておきましょう。

*障害や疾患の理解*
 こどものもつ障害や疾患の特徴を理解した上で、対応しながらあそびましょう。

*こどもの観察* 怖がっていないか、つかれていないか、過度に興奮していないか確認、など。
 同じあそびでも、音や光に敏感なこどもや、暗いところが苦手なこどもがいたりと、こどもによって好き嫌いが異なります。また、その日の体調にも気を配りましょう。

*材料の確認* 危険があるものの確認、など。
 あそびの材料の中で、アレルギーがあるもの、誤飲する可能性があるもの、磁石など医療機器に影響があるものは確認して対応しましょう。

個別のあそびのページには、そのあそびを行う際の注意点がまとまっていますので、あそび始める前に必ず一度確認をしてください
また、障害や症状の程度、医療的ケアの状況によっても注意する点は異なります。注意点は広範に検討していますが、お子さんの状況も加味して十分注意してあそんでください。